
ドラッグストアといえばCVS Pharmacy

CVS Pharmacyは、アメリカ全土で展開している、24時間営業のドラッグストア。
日本のドラッグストアのように、化粧品や日用品、医薬品はもちろん、飲み物やちょっとしたおみやげ、子供のおもちゃやバースデーカードなど、けっこう何でも売っている。

本当にたくさんの商品が置いてあるので、行くだけでも楽しく、旅行者はお土産を買う場所としても便利。

24時間空いているのと、ちょっとした食料品やお菓子、酒類も扱っていたりするので、現地に住んでいてもコンビニ感覚でなんだかんだでよく使う。
店によってはパスポート用の証明写真を撮れるところもあったりするので、ビザ発行のときにも行くし、こちらで生活している者にとっても、重宝する場所。

CVSらしからぬCVS
そんなCVS、マンハッタンのほぼ全部のブロックに1店舗はあるのではないかというくらい、街のそこらじゅうにあるのだが、そんな中でも私がとくにお気に入りなのが、14thストリートと8thアベニューの角にあるCVS。
まるで神殿のような重厚な建物がまるっとCVSになっているのだ。

さきほどの、1枚目の写真と比べて欲しい。
建物が圧倒的に大きく、存在感ありまくり、ついでにロゴも雰囲気に合わせてコーポレート赤をやめて黒にしちゃってる。
入り口も大きな柱が2本あり、まるで政府の建物か裁判所かのような面構え。

この大きな2本の柱の間に入り口がある。
柱の脇には、これまた重厚な感じの石に彫ったCVSロゴ。こちらはいつもの赤に塗られている。

このCVSストア、外見もかなりインパクトがあるが、中もさらにすごい。
入り口を抜けると、迎えてくれる高い天井、そして素晴らしい修飾。

商品のラインナップは他のCVSと同様なのだが、壁の質感、内装、陳列商品以外のすべてが他のCVSと明らかに異なる。
そのドラッグストアのビビッドカラーの商品たちと、中世を思わせるような重厚な建物のギャップに尚更不思議な気持ちになる。

あまりにも異色を放つこのCVS。
建物の雰囲気や内装が大好きで何度も通ううちに、どうしてこんな様相なのか気になって調べてみたところ、意外なことが分かった。
一体どうしてこんな建物に?
この建物が建設されたのは、遡ること124年前、1897年。
その重厚さからうっすら予想はしてたけど、そんなにも歴史ある建物だったなんて!
ロバート・ヘンダーソン・ロバートソンという建築家の設計で、ローズヒル貯蓄銀行として建てられたそう。
最初は銀行だったのか。納得の荘厳さ。
ちょうど時代は1893年恐慌(アメリカの歴史的な不景気)のあとで、銀行を建設するにあたっては、人々に「何世紀にもわたって安定して存在するよう堅実に見える」と感じてもらう必要があったとのこと。
そのため、シンプルな構造でありつつも、預金者がお金と貴重品を預けるのに「完全に安全な場所である」という印象を与えるようにデザインされ、その結果この白い大理石のローマ神殿のような建物になったそうだ。

1963年8月16日、銀行がニューヨーク市の貯蓄銀行との合併に吸収され、名前がニューヨーク貯蓄銀行に変更された後、建物は放棄され、何年もの空き家だったらしい。(もったいない!)
その間、建築のパーツやメタルが剥ぎ取られたりして、かなりボロボロになったみたい。
1980年代後半に、セントラルカーペットという会社が建物を引き継ぎ、構造を復元。
セントラルカーペットが移転した後、2005年から2009年まで、建物は高級食料品店Balducci'sの本店になった。



そして2010年に、今の形であるCVSに改修されたとのこと。
調べてみると、思っていた以上に歴史のある建物で、より一層好きになった。
銀行時代の名残りで、建物の奥にあるブロンズの時計は「倹約の象徴である蜂の巣を支え、勤勉なミツバチが時計の文字盤の周りを飛び回っている」デザインになっていとのこと。
これか!
全然気づかなかった(笑)

次回行ったときには、時計の蜂も注意してよく見てみようと思う。
チェルシーマーケットにも近いので、ショッピングのついでに寄りやすいロケーション。
ドラッグストアでお買い物しながら歴史的建造物も堪能できる、一石二鳥のスポットです。